投資を始める方へ(8): ボラティリティ
今回は、ボラティリティ(価格変動 特に下落)を前向きに考える、という話です。
ボラティリティとは、株価などの変動率のことです。「ボラティリティ(価格変動)を前向きに考える」というのは、値下がりしてもあせらない方がいいみたいですよ。ということを言いたかったのです。
- 値下がりを、儲けのチャンスと考えることができるか?
- 少々の値下がりでビビらないでいられるか?
ということが、長期投資では重要なんですね。
具体的な例を示します。
下の図は2006年度の日経平均月末終値を示したものです。とても、わかりやすい典型的な期間だったように思います。
昨年度5月の下げは、大きかったです。
もちろん、運よく、2006年5~7月に投資を始めた人は、良い成績でした。
15467.33円(2006年/5月終値)で買った日経平均が、17287.65 円(2007/3月終値)に値上がりし、+11.8%の儲けです。
問題は、運悪く、4月に投資を始めた場合です。仮にエヌ氏とします。
このエヌ氏、何を思ったか、いきなりポーンとトラの子の100万円を全部、日本株のインデックスファンドに投資してしまいました。しかし、いきなり、5月に値下がり。その後も低迷。かといって買い増す資金もありませんでした。11月頃、嫌気がさして、「勉強代だ」などとつぶやき、売ってしまいました。
16906.23円(2006年/4月終値)で買った日経平均を、16274.33円(2006/11月終値)で売ってしまいましたので-3.7%(3万7千円)の損です。
このエヌ氏、何が悪かったのでしょうか?
この場合は、まず、11月に売っちゃったのが、いけなかったんですね。いっぺんに投資してしまったため、値下がりしたときにも買えなかったのも、痛かったです。何より、全額、日本株式っていうのも凄すぎます。
相場観に基づいて投資するということは、大変難しいし、一般的におススメできるようなものではありません。そこで、ボラティリティ(値下がり)に耐えるための投資法としてのドルコスト法やリバランス。長期的リターンを享受するための買ったら売らないバイ&ホールド。リスク低減のための分散投資などが有効だといわれています。
上記の例で、標準偏差(ボラティリティでありリスク)、ドルコスト法と単純バイ&ホールドの比較をご参考に示します。
1.終値一覧と標準偏差。
年月 | 終値 |
2006/04 | 16,906.23 |
2006/05 | 15,467.33 |
2006/06 | 15,505.18 |
2006/07 | 15,456.81 |
2006/08 | 16,140.76 |
2006/09 | 16,127.58 |
2006/10 | 16,399.39 |
2006/11 | 16,274.33 |
2006/12 | 17,225.83 |
2007/01 | 17,383.42 |
2007/02 | 17,604.12 |
2007/03 | 17,287.65 |
平均 | 16,481.55 |
標準偏差 | 751.71 |
4.56% |
日本株式のリスク(標準偏差)は、ここによると、21.62%だそうですから、去年1年の標準偏差4.56%は、大したことはなかったのですね。こういうことも数字で把握するとなんだか、はっきりします。こんな小さなことで、あせったら損な気がしてきます。
2.投資法による差
(1)単純バイ&ホールド
17287.65(2007/3月終値)/16906.23(2006/4終値)=102.3%
2.3%の儲けです。じっと、我慢の子でいれば、損はしませんでした。
(2)ドルコスト
月 | 累積 投資額 |
累積 投資 口数 |
評価額 | ドル コスト 収益 率 |
単純 騰落 率 |
04 | 10,000 |
0.59 | 10,000 | 0.0% | 0.0% |
05 | 20,000 | 1.24 | 19,149 | -4.3% | -8.5% |
06 | 30,000 | 1.88 | 29,196 | -2.7% | -8.3% |
07 | 40,000 | 2.53 | 39,105 | -2.2% | -8.6% |
08 | 50,000 | 3.15 | 50,835 | 1.7% | -4.5% |
09 | 60,000 | 3.77 | 60,794 | 1.3% | -4.6% |
10 | 70,000 | 4.38 | 71,818 | 2.6% | -3.0% |
11 | 80,000 | 4.99 | 81,270 | 1.6% | -3.7% |
12 | 90,000 | 5.57 | 96,022 | 6.7% | 1.9% |
01 | 100,000 | 6.15 | 106,900 | 6.9% | 2.8% |
02 | 110,000 | 6.72 | 118,258 | 7.5% | 4.1% |
03 | 120,000 | 7.30 | 126,132 | 5.1% | 2.3% |
ドルコスト収益率①の推移と2006/4月に買ってバイ&ホールドした場合の騰落率②の推移を示してあります。
ドルコストの方が良い成績です。ボラティリティ(値下がり)がプラスに作用した典型例です。一時的に値下がりしたからこそ!単純な値上がり率より、収益率が向上しました。
むろん、この後もまた下がってしまうかもしれませんし、上がるかもしれません。上記の例は、ドルコストの効果を示すために意図的に選んだ期間です。ちなみに、ドルコスト法は、損でも得でもないそうです。参考となるrisさんのブログのエントリーを紹介します。同エントリーのコメントも参考になります。
- ドルコスト平均法は有利?不利?(ホンネの資産運用セミナーさん)
- ドルコスト平均法は有利?不利?(パート2)(ホンネの資産運用セミナーさん)
- ドルコスト平均法に関する疑問(ホンネの資産運用セミナーさん)
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