バンガードトータルストックマーケットインデックスとiShares S&P 500 インデックスの比較
さて楽天証券で取り扱われている、iShares S&P 500 Index(IVV)ですが、 マネックス証券で扱っているVanguard Total Stock Mkt Idx と比べて、どうなんでしょうか?
なおきさんから、貴重なコメントをいただいています。以下、引用です。
アメリカのモーニングスターで、こんなデータを見つけました。バンガードトータルストックマーケットインデックスとiShares S&P 500 インデックスの税コストの比較です。
- http://quicktake.morningstar.com/etfnet/Tax.aspx?Country=USA&Symbol=IVV&fdtab=tax
- http://quicktake.morningstar.com/FundNet/Tax.aspx?Country=USA&Symbol=VTSMX&fdtab=tax
このデータによるとS&P500は銘柄入れ替えがあるので余計な税コストが掛かっているかもしれないです。
米国Yahooで比較してみましょう。5年間のパフォーマンスです。
5年間のパフォーマンスではバンガードトータルストックマーケットインデックスが勝っています。これがコストの差によるものかどうかはわかりません。
なおきさんに教えていただいた情報を整理してみます。
(2007年3月末のデータ)
iShares S&P 500 Index IVV | Vanguard Total Stock Mkt Idx VTSMX | 差 | |
Pretax Return | 6.17 | 7.50 | 1.33 |
Tax-adjusted Return | 5.52 | 7.16 | 1.64 |
Tax Cost Ratio | 0.61 | 0.32 | -0.29 |
単に税コストの差によるものだけではなさそうです。
- バンガードの方が、基本のパフォーマンスが1.33%(おそらく年率)高い。
- 税引き後では、税コストの差が、0.29%あるためか、差は広がり1.64%。
次に、税コスト及びマネックス証券でかかってしまう外国口座管理手数料を加味したコストをまとめてみます。
iShares S&P 500 Index IVV | Vanguard Total Stock Mkt Idx VTSMX | 差 | |
エクスペンスレシオ | 0.09 | 0.19 | 0.10 |
税コスト | 0.61 | 0.32 | -0.29 |
外国口座管理手数料 | 0.00 | 0.63 | 0.63 |
計 | 0.70 | 1.14 | 0.44 |
税コスト差はありますが、マネックスの外国口座管理料のせいで、iShares S&P 500 の方が0.44ポイント有利でした。やれやれ。
次は、売買コストです。
- iShares S&P 500 インデックスを楽天で購入する場合、購入売却時にそれぞれ31.5$かかり、計73$かかる。(やっぱり高いですね)
- バンガードトータルストックマーケットインデックスは、ノーロード。
ETF | 13-Apr | 口数 | 購入金額 |
iShares S&P 500 Index (IVV) | US$145.48 | 30 | US$4,364.40 |
上記条件では、73$/4364.4$=1.44%の売買コストがバンガードトータルストックマーケットインデックスに比べて余分にかかります。
したがって、売却まで考慮すると、1.44%/0.44%=3.3年 回収に要します。
次に、マネックス証券で購入したバンガードトータルストックマーケットインデックスからの乗り換えを考えてみます。このときかかるのが為替コストです。マネックスでの売却、楽天証券での購入にそれぞれ25銭/$、計50銭/$かかりますので、1$118円換算で、0.42%。これが余分にかかるコストです。
これを加えると (1.44+0.42)/0.44=4.2年 回収に要します。
コストの差は以上ですが、気になるのは、基本のパフォーマンス。米国全体に投資するバンガードトータルストックマーケットインデックスは、やはり有利なんでしょうか。
IVVとは長期比較ができなかったので、S&P500指数そのものと比較します。
90年代はS&P500の方がパフォーマンスが良く、長期ではトントンです。しかし、上記はS&P500指数そのものであり、実際に運用しているiShares S&P 500 では、税コスト含めると年間0.70% かかってしまうようです。この仮説が正しいとすると、10年間複利計算では、7.2%のパフォーマンス差となって見えてくる可能性があります。
こう考えていくと 米国全体に投資するバンガードトータルストックマーケットインデックスはやはり魅力があります。少額による分割購入も可能です。
先の回収期間3.3年(乗り換えの場合4.2年)の間に米国全体に投資する海外ETFが購入できるようになったら、どうするか。はたまた、よりローコストの売買手数料で海外ETFが購入できるようになったらどうするか。実に悩ましいところです。
< お読みのみなさんへ>
本エントリーは、私の米国投信事情の知識不足による勘違いがあるかもしれません。ご指摘いただければ幸いです。
<ご参考>
さっそくコメントいただきました、余六さんの記事をぜひご覧ください。
近いうちに、回転率Turnover Rateの、便利さと落とし穴
ETFは投信より、税金面で少し有利
について私の理解するところを書きます。ぜひ読みに来てください。
とのことです。楽しみですね。
コメント
NightWalkerさん、こんばんは。
さっそく記事にしていただいたようでありがとうございます。後、私の名前も覚えてもらっていたようでありがたいです。
今回のコストの件ですけど、バンガードトータルストックマーケットインデックスの方がiShares S&P 500 インデックスより配当利回りがよいらしいということも、バンガードの方が有利な点だと思います。(yahoo financeのチャートは配当再投資無しのチャートなので。具体的な配当利回りは分からないです。すみません。(^^;))
それでは、これからもブログがんばってください。いつも見てます。
投稿: なおき | 2007年4月16日 (月) 00時39分
税は大事なトピックで、僕も勉強中です。自分のブログでも引用いたしました。
http://yoroku.blogspot.com/2007/04/etf.html
それと、このホームページのまんなかくらいにSP500とTotalStockMarketのもっと長い歴史がのっています。
http://www.vanguard.com/bogle_site/sp20020626.html
おおざっぱな平均ですがSP500のほうが0.4%リターンがよい(10.7%対10.3%)とのことです。差がこんなに小さいから、NightWalkerさんがおっしゃるとおり、税金や運用費用の大小が大事になってくるようです。
投稿: 与六 | 2007年4月16日 (月) 09時55分
皆様コメントありがとうございます。
>なおき様
なおきさんには、このブログの来訪者が日に数十名だったころから、貴重なアドバイスや、私の計算魂を刺激するトリガーをかけていただき、感謝しております。また、難しくない程度に(笑)、お題を頂戴できれば、うれしく思います。
>与六様
記事、拝読させていただきました。たいへん参考になりました。私の記事の方にも反映し、ご紹介させていただきました。税金もばかになりませんね。
投稿: NightWalker | 2007年4月16日 (月) 22時10分
こんばんは。
楽天証券でDIAとSPYが来てますよ。(^_^)
投稿: なおき | 2007年4月25日 (水) 20時54分
なおき様
情報ありがとうございます。
別の記事を書いていて、楽天証券のサイトを見に行き、今気付いたところでした。
水瀬さんは早速記事にしているようですね。
SPYは、なおきさんご指摘の税コストも低めのようですね。買っちゃおっかなあ(^o^)。
投稿: NightWalker | 2007年4月25日 (水) 22時05分
投資初心者です。
バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンドを購入しようと考えています。(マネックス証券で)
そこで、質問ですが、
マネックス証券での購入ではなく、米国の証券会社で直接購入する方法とかはありませんか?
投稿: 投資初心者 | 2012年10月 9日 (火) 12時59分
投資初心者様
コメントありがとうございます。
>米国の証券会社直接購入する方法とかはありませんか?
残念ながらコスト含むもろもろのハードルが高いようで私自身は知りません。
お力になれずすみませんm(__)m
投稿: NightWalker | 2012年10月18日 (木) 23時49分