月々10万円の家賃が、30年後、50年後、いくらになるかの計算
30年後(今30歳の人が60歳)、50年後(今30歳の人が80歳)に、現在、月10万円の家賃を払っている人は、いったい月々いくらの家賃を払っているか?そして、その間の支払い総額は、いくらになるかの計算をしてみました。
まず、家賃が月々いくらになっているか?当然のことながら、家賃の想定値上がり率によって、変わります。
何年後? | 想定値上がり率(年率) | ||||
0% | 1% | 2% | 3% | 4% | |
30 年後 | 10.0 | 13.5 | 18.1 | 24.3 | 32.4 |
50 年後 | 10.0 | 16.4 | 26.9 | 43.8 | 71.1 |
単位:万円 |
次に、家賃の支払い総額は、いくらになっているか?
期間 | 想定値上がり率(年率) | ||||
0% | 1% | 2% | 3% | 4% | |
30年間 | 3,600 | 4,174 | 4,868 | 5,709 | 6,730 |
50年間 | 6,000 | 7,736 | 10,150 | 13,536 | 18,320 |
単位:万円 |
値上がり率が3%とすると、一生で1億3千万円以上。インフレは、恐いですね。著名な投資本では、必ずと言っていいほど、インフレに打ち勝つことの重要性を説いています。
現在、30歳ぐらいの人は、モノゴコロ付いてから、「インフレ」と言うものを経験したことがないと思いますが、ほんの20年前までは、ずっとインフレだったのです。かつての労働組合の賃金闘争は、「インフレに如何に打ち勝つか」にあったと言っても過言ではないと思います。
私が、以前、調べた、1955年~2005年の日本の消費者物価指数(帰属家賃を除く)により、計算したインフレ率は、以下のようになります。
年 |
消費者 |
1955 |
17.7 |
1965 |
25.5 |
1975 |
57.4 |
1985 |
90.1 |
1995 |
101.8 |
2005 |
100 |
期間 |
インフレ | |
1955-2005 | 50年 | 3.52% |
1965-2005 | 40年 | 3.48% |
1975-2005 | 30年 | 1.87% |
1985-2005 | 20年 | 0.52% |
1995-2005 | 10年 | -0.18% |
一般的に言って、株式や土地(不動産)は、インフレに打ち勝つ性質のものです。土地価格と連動性があると思われる家賃は、長期で見れば、上記、帰属家賃を除く消費者物価指数よりも更に高くなる可能性もあります。
今は、持家をするのは不利であるという考え方が主流ですし、事実そうだったとも思います。この考えが広く広まったのは、下記の本のヒットがあったように思います。(私もだいぶ感化されました)
これらの本は、デフレ真っ只中の2000~2001年に出版されました。
しかし、今は、2007年です。これからも、デフレは続くのでしょうか?そうでないとすれば、今後のインフレ率はどの程度になるのでしょうか?ちなみに、イギリスのインフレターゲットは、2.5%です。(出典:ここ)
今まで20年間、物価が上昇しなかった=今後も物価は上昇しない、と考えるのは、少々危険です。もし、インフレが進めば、持家の方が得をする可能性もあります。昭和40年代までに持家をした人が、そう だったように。
以前、持ち家について考えるというエントリーで、持家は、買った人が満足していれば、車と同様、高額消費として許されるのでは?と言う話を書きました。(このエントリーは、『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント』の著者の北村慶さんから、思いがけずコメントを頂戴してしまいました)。もう一度整理してみたいと思います。(自分に言い聞かせるために書いています(笑)。)
- 持家は買った人が満足することが最も重要。
- 計画的なローンであれば、ローンは問題ない。
- インフレが進んだ場合、持家の方が得になる可能性がある。
- 買い替えコストがかかるため、長期に居住することが重要。
- 長期に居住するには、一戸建ての方がよい。(マンションでは、リフォームしても50年住むのは困難)
- 職業を得やすい首都圏(都市圏)の方が長期居住の可能性が高まる。
- 長期と言うのは、一族で、と考えた方がよい。(例:リタイヤ後は、今住んでいるところは、息子に譲り、自分は、田舎(妻の実家が伊豆なのでたぶん伊豆)で優雅に暮らす、と言うのも有り。
コメント
こんにちは。
TBさせて頂きました。
私も住宅取得は「投資」とは切り離して考えているのですが、インフレと絡めた試算、興味深く読ませて頂きました。
将来どうなるかは全くわかりませんが、(多くの投資本で語られているように)インフレに打ち勝つことの重要性は充分意識するようにしています。
投稿: じゅん@ | 2007年3月17日 (土) 16時16分
じゅん@様
コメント&トラックバック、ありがとうございます。
>将来どうなるかは全くわかりませんが...
まったくその通りだと思います。
ただ、この20年間、日本と言うお金持ち国家にインフレが発生しなかったのは、奇跡的だと思います。この間、金融資産 (といっても預金の類)を持っている人は、何もしないでもお金の価値が下がらなかったのですから。これが、これからも続くと言うのは、正直信じられません。
投稿: NightWalker | 2007年3月17日 (土) 16時51分
今後のインフレ率がどうなるか、これは畢竟日銀の金融政策次第だと思われます。
イギリスのインフレターゲットは2.5%ですが、最近の日銀の相次ぐ利上げなどを見るに、日銀の場合、資産インフレ抑制のためには少々のデフレも辞さないという方針と思われます。従って、当面はデフレ基調が続く可能性が高いのではないでしょうか。今後、日本がインフレ基調に戻るとしたら、それはこうした90年以来の日銀の金融政策が変化した時ではないかと思われます。
投稿: dell | 2007年3月17日 (土) 22時32分
dell様
コメントありがとうございます。
>90年以来の日銀の金融政策が変化した時ではないかと思われます。
これが、いつなのか、10年後か、20年後か、30年後か、誰にもわからないとは思いますが、あと30年、ノーインフレだったらすごいと思います。
投稿: NightWalker | 2007年3月17日 (土) 23時08分
注意すべきことがあるとすれば、地価はインフレ(最大はバブル)時に物価よりも猛烈にあがり、下がったとは言っても現在まだ十分高い水準だということかと。
それと二極分化は進むだろうと予想されます。
とはいえ。
結論部分は当方も妥当と思います。
投稿: MAT.N | 2007年3月19日 (月) 16時20分
MAT.N様
コメントありがとうございます。
>二極分化は進むだろうと予想されます。
進むと思います。妥当な水準まで値下がりする時期にも、大きく地域差が出ると思います。
投稿: NightWalker | 2007年3月19日 (月) 19時22分