さわかみファンドのあやしい魅力 (2)
前回のエントリーから、だいぶたってしまいましたが、さわかみファンドのあやしい魅力をまた語ってみたいと思います。
今回のテーマは、「さわかみファンドは、追加型株式投資信託/国際株式型(一般型) である」という話です。
国際株式型ということですが、目論見書などを読む限り、さわかみファンドは、本来、「なんにでも投資できるファンド」になっているのです。そのはずです。にもかかわらず、ファンド設定以来7年間に渡って、日本株一本です。モーニングスターのカテゴリーにいたっては、堂々、国内株式型国内中型ブレンドということになっています。
21世紀初頭の下げ相場では、バリュー株投信の本領発揮で高いパフォーマンスを上げてきました。しかし、ここ1年のパフォーマンスは、インデックスとトントンです。
でも、日本株一本です(^^;)。さわかみ先生によると「今は日本株が一番魅力的なアセットクラスである」ということなんですけれど。本当?
ありがとうファンドというのがあります。これには、さわかみファンドが組み入れられていますが、それ以外に トヨタグループ株式ファンドF、社会貢献ファンド 、Avest-Eなどの優良ファンドが組み入れられています。Avest-Eは外国株式のバリュー株ファンドで、信託報酬は高めなものの、この1年では、ほぼ外国株インデックスと同等のパフォーマンスです。もし、さわかみファンドが外国株式を組み入れていたら?という擬似シミュレーションとして、両ファンドのパフォーマンスを比較してみたいと思います。まずこの1年。
青が「ありがとうファンド」、赤が「さわかみファンド」です。 5月くらいまでは、さわかみファンドが勝っていますが、その後、パフォーマンスを落とし、ありがとうファンドとトントンになりました。5月くらいまでは、日本株が有利だという澤上先生の主張は間違ってはいなかったといえそうです。 ここで、中央三井外国株式インデックスとTOPIXの比較もご紹介しておきます。
青:中央三井外国株式インデックス、赤:TOPIX
なるほど。6月ころから、日本株は急落。その後、泣かず飛ばず。一方、外国株式は堅調に推移。原油も急落して、「世界の資金が日本と原油と住宅市場から欧米株へ」という展開でしょうか。
その6月、ここぞとばかり、さわかみファンドは日本株をどかんと買いました。5月末の組み入れ比率が76.9%だったのに、6月末では94.4%に。多くの人は、さわかみファンドをほめたたえました。「さすが、さわかみさん」と。さて、その結果は、どうだったのでしょうか。以下は、月末株式組み入れ率の変化と2005年9月末を100とした時のTOPIXおよびさわかみファンド基準価格との関係を比較したものです。
株式の組み入れ比率が70%台だった時もTOPIXと同等水準。組み入れ比率を90%台に増やした後もTOPIXと同等水準、です。よくわかりません。この辺に「さわかみファンド」のあやしさが凝縮されていると思うのですが、これを合理的に説明するには、たとえば、以下のようになります。
- 2006年5月までは株式の組み入れ比率が70%でもTOPIXに近いパフォーマンスを上げるすごいポートフォリオだった。
- 2006年6月以降はフツーの日本株ファンドになった。
全然合理的じゃありません(^^;)。いったい、どうゆーことなんでしょうか?....怖くてかけません(^^;)。
さて、話は戻って、さわかみファンド対ありがとうファンド。この3ヶ月では?
うーむ。ありがとうファンドの勝ち!
私としては、スイス・ピクテ銀行日本法人代表のご経歴を持つ澤上篤人氏がご健在なうちに国際市場の大海原へ出航していただきたいと考えています。お手並みご拝見です。
ファンドは、投資対象のベンチマークを決め、その相対比較で優劣を評価すべき、と一般的には言われています。一方、さわかみファンドは、ベンチマークを持っていません。これを説明する理由が、先の「なんにでも投資してよい国際株式型投信」であるということです。すなわち、比べるものがない、というわけです。
この場合は、ヘッジファンドのように、絶対パフォーマンスを目指すべきです。でなければ、単にパフォーマンスの低い時の言い訳を用意しているだけじゃないの?と思われてしまいます。では、どの程度を目指して欲しいかというと、ずばり、年次リターン13%です。さわかみ投信のホームページのここには、
本格派の投信運用会社は時間の経過とともに、すごい成績を出してくる。例えば、運用先進国である米国には、1999年末までの66年間の運用成績が、年率13.62%にも達する投信ファンドが存在する。
ともあれ、このような長期保有型の投信があれば、一般家庭は大船に乗ったつもりで運用をまかせておけば、いつの間にか財産づくりになってしまう。たとえば、年率13%の成績が続くと、6年で資産は2倍になる。
という啓蒙的なテキストがあります。目論見書のどこにも書かれていませんが、年率13%のリターン。これを目指して欲しい。ヘッジファンドのように20%は望みませんが、S&P500に負けるようでは、話になりません。
くしくも、2006/11/17時点での年次リターンは、5年で13.1%(TOPIXは8.83%)。これからの5年、年次リターン13%を維持できるのか注目していきたいと思います。
たった1%の信託報酬でなんにでも投資してくれる究極のアクティブファンド、いわば庶民のラップ口座-さわかみファンド。今後に期待です。
追伸
※次回は、ビレッジ構想編(誰もファンドの儲けで村を作ってくれなんていってねーつーの!)の予定です。発表時期は未定です。
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