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2006年11月12日 (日)

日本の地価の長期リターン(3)

 今回が、まとめのエントリーとなります。

市街地価格指数のリターン(インフレ調整なし版)

  1年 5年 10年 15年 20年 25年


最悪 -6.41% -5.02% -3.62% -2.61% -0.39% 0.98%
最大 37.80% 26.70% 21.66% 19.54% 18.49% 15.88%
平均 8.71% 8.68% 8.41% 8.51% 8.34% 8.29%
標準
偏差
11.04% 9.20% 7.45% 6.59% 5.55% 4.71%

最悪 -38.72% -12.71% -7.50% -7.81% -0.02% 2.26%
最大 118.38% 33.10% 29.55% 19.19% 16.57% 16.21%
平均 12.54% 8.82% 8.74% 8.74% 9.45% 9.48%
標準
偏差
28.56% 12.18% 8.67% 6.57% 4.87% 4.10%

市街地価格指数のリターン(インフレ調整あり版)

  1年 5年 10年 15年 20年 25年


最悪 -14.23% -4.76% -3.45% -2.90% -0.90% 0.02%
最大 30.95% 23.38% 17.30% 14.40% 11.72% 9.17%
平均 4.88% 4.59% 4.05% 3.92% 3.62% 3.60%
標準
偏差
9.29% 7.53% 5.41% 4.47% 3.20% 2.84%

最悪 -40.51% -14.34% -8.76% -8.29% -0.66% 0.18%
最大 105.94% 26.25% 24.37% 13.77% 11.91% 9.41%
平均 8.65% 4.82% 4.50% 4.21% 4.69% 4.48%
標準偏差 27.45% 11.41% 7.56% 5.10% 3.36% 2.53%

   上記の表から、以下が読み取れます。

  • 土地のリターンは、株式よりも やや低いが、インフレに打ち勝つ
  • 土地のリターンは、株式よりバラツキ(標準偏差)が小さめ。

  地価もどうやら、 インフレには打ち勝っているかのように見えます。しかし、地価の場合には、これ以外にも大きなコストがかかってしまいます。

 それは、以前のエントリーでお話した持家プレミアム=25%というものです。(持家プレミアムについては、貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメントの第5の智恵をご参照ください)

 これは、言い換えるなら、「売買コスト」といえるものではないでしょうか。

 土地の取引にも、売買コストと保有コストがかかります。

  • 売買コストは、仲介業者等の儲け=業者の粗利率(数10%と推定される)
  • 保有コストは、固定資産税1.4%+都市計画税0.3%

 土地の取引は、株式のように大量かつ頻繁に行われるものではないため、流動性は低いと言えると思います。その分、株式に比べて、売買コスト等が「割高」になります。保有コストも高い。株式投信の信託報酬が1%で高い、などと議論するのがバカらしくなるくらい国に税金を納めているのです。(株式の場合、今のところ、保有に税金はかかりません。株式はその点でも有利な資産です。)

売買コストが持家プレミアム25%分とした時の年次換算の損失分を計算してみました。

1年 5年 10年 15年 20年 25年
33.33% 5.92% 2.92% 1.94% 1.45% 1.16%

これに加えて、 保有コストである税金1.7%をリターンから引くと

  1年 5年 10年 15年 20年 25年
最悪 -49.27% -12.38% -8.07% -6.54% -4.05% -2.84%
最大 -4.08% 15.76% 12.68% 10.76% 8.57% 6.31%
平均 -30.15% -3.03% -0.57% 0.28% 0.47% 0.74%

なんだか、がっかり、する結果です。土地(不動産)は、割高な販売コストと保有コストのせいで、長期的に見ても平均収支がトントンです。

しかし、更に続きがあります。もし、この土地の買入資金をローンで組んだら、どうなるのでしょうか?

平均収支では、ローン金利の分、マイナスになります。

以上、まとめますと

  • 土地は、インフレに打ち勝つ性質の資産であるが、コスト面では株式に比べ、ものすごく不利。
  • 借金して不動産投資するのは、平均的には損。買うなら現金一括購入(ムリ^^;)。
  • 一方、プラスの可能性もないわけではない。金利が相対的に低い時に長期ローンを組み、比較的長い期間、平均以上のリターンがあったケース。この15年がぼろぼろだったので、ひょっとすると、今がその時かもしれない。(藤巻健史さん説)
  • 仲介業者は取引がある限り確実に得をする。これは、株式、不動産、共通。

  です。売買差益目的で現物の不動産を購入することは危険そうです。

  しかし、自分が住む住宅であれば、賃貸費用が浮くわけで、その分は得をします。自宅に住む目に見えない利益は、計算不能です。また、投資した不動産の運用収益があるケースも考慮しないといけません。これは、結構大きいリターンのはずですが、収益予想が難しいので、上記には、その成分は入っていません。

 これらを考慮すると、以下の前提であれば、得をする可能性があります。少なくとも、私自身は得をする、と思っています。

  • 永久保有する。引っ越さない(売らない)し、相続時に分割しない。
  • 一族のものが、住み続けるか、有利な条件で運用し続ける。
  • 相続税や固定資産税が極端に高くならない。
  • 売買差益は期待しない。

 結局、「家(House)」を持つということは、「家(family)」を作ることではないでしょうか?ここでいう「家」は、ハプスブルク家とがロスチャイルド家とか、Nightwalker家 という意味の「家」です。
 旧来の「家」とは、家長制度の崩壊とともに、なくなってしまいましたが、「家」というシステムは、財産を作るのに、きわめて効率の良い方法である可能性があります。そういえば、政治家の先生の多くが、二世議員です。

 我々、庶民は、今では、すっかり、核家族指向です。これは、経済的に見て、非常に損な選択をしている可能性があります。ひょっとすると、自由と平等の名の下に取り込まれた核家族思想は、中産階級に損をさせるべく、仕組まれたわな(少々言いすぎかもしれませんが)だったかもしれないのです。

 今後、少子化が進むと、都市集中化が続きます。国として生産性を維持するためには、経済的合理性の観点から見れば、そうなるはずです。定住指向の方は、この点を踏まえながら、一族の住みかをどこにするのか考えるのも一つの道です。

 また、現代において、旧来の意味に近い「家(Family)」を作るということは、「法人(Company)」を作ることではないか、とも思っています。この点については、また機会があれば...。

<補足>

 固定資産税評価額(課税標準額)は公示価格の7割程度。住宅用地は200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は課税標準額が6分の1に軽減。200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)は課税標準額が3分の1に軽減されます。(但し、その土地に建てられた建物の床面積の10倍が上限)。

 同様に、都市計画税は、「小規模住宅用地」部分が課税標準額が3分の1に、「一般住宅用地」部分は3分の2にそれぞれ軽減されます。

 よって、一般人が住むような小さい土地の場合は、固定資産税や都市計画税は、かなり小さくなり、投資効果は先の計算より、上がります。

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