確定拠出年金は米国の100分の1
加入者本人の判断で資金運用する確定拠出年金(日本版401k)が10月1日、導入から丸5年を迎える。加入者数で200万人、運用残高は2兆5000億円をそれぞれ突破。成長分野とみて有力金融機関による商品販売競争が激化している。ただ確定拠出年金の本家である米国に比べるとなお100分の1以下の規模にとどまり、制度面の不備も明らかになってきた。
まだ、たったの200万人しか確定拠出年金に加入していない、と読みました。
加入者数がもっと増える(軽く10倍)余地がある、ということだと私は思います。もし今後、加入者数が大幅に増え、その資金が投資に向かえば、大きな力になります。日本株式に向かえば、日本株式上昇。外国債券、外国株式に向かえば、円安が進むため、外国金融資産の価値が相対的に上がります。
今後の日本では、少子化が進むため、「人間」だけではなく「お金」に働いてもらう必要があるのです。このためには、強力なバイ&ホールドの担い手となる年金資産がより一層、投資に向かう必要があるのです。
諸外国がすでにやっていることを真似すればいいだけですから、簡単です。なのになぜやらないかと言うと、政府や国を管理している方々は、優秀な学業成績の品行方正な方々なので、投資(株式)=賭博=悪いこと=愚かな国民が悪いことをしてはいけない=国家が管理、という通念がいまだ残っているからと推測しています。
しかし、年金問題は、背に腹は変えられない状況になっています。やるしかないでしょう。
紙面では、制度面の不備について、「企業の拠出限度額が少額に押さえ込まれていることがブレーキとの見方が多い」と指摘しています。企業年金がない企業で月額46,000円、企業年金がある企業で月額23,000円というのは、あまりに低い。
貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵 では、現在45歳の世代では2000万円、現在35歳の世代では2500万円の年金ギャップが発生することを指摘しています。特に45歳の人は60歳までたったの15年しかありません。仮に予定利率を5%として月々46,000円ずつ15年間積み立てたとします。Excelで計算してみましたところ、1230万円にしかなりません。年金ギャップに対し、800万円近くも不足するのです。その分、別に貯めておかないといけません。同じくExcelのゴールシークで計算したところ、2000万円を予定利率5%で達成するためには、74,825円ずつ毎月積み立てる必要がある、と出ました。
限度額拡大だけでなく、一時支払い制度も必要だと思います。これがないと、積み立て期間が短くなってしまう世代にはつらいハズです。
もし、政府がこのまま無策で、15年後大幅なインフレにでもなったら、今45歳の世代の方々が暴動を起こすかもしれませんよ。
また、企業年金のある企業では、その企業が確定拠出年金制度を採用していないと、従業員は確定拠出年金に個人加入できません。これに不公平を感じている人も多いでしょう。こういったお堅い制度設計にも、国家(高級官僚)が、いかに儲けの才能がないかが現れています。確定拠出年金の税制優遇策をケチるあまり、拠出額を押さえ、加入者制限を加え、結果、長期性の金融資産が投資に向かわず、株価が上がらず、取れる税金を取り損ねているのです。
また、確定拠出年金制度の加入条件が大幅に緩和されれば、インデックス投資派にとっても、コスト面で優遇された確定拠出年金専用ファンドをたくさん購入出来るようになるわけで、これもうれしいですね。
今後の政策に期待したいと思います。
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